論理性と創造力に関する発表を行ってきました
と書くととっても偉そうというかアレですが,「創造性工学プロジェクト」という集中講義に参加して,その中の1プロジェクトの成果発表を任されたので,10分ほど喋ってきました.スライドを置いておきます.
閃きだけに頼ってモノを生み出しているエンジニアは,閃きが枯渇すると死んでしまいます.そうならない為には,頭の中にアイデアをストックするのではなく,アイデアを論理的に導く手法をストックしておくのが一番いい.TRIZによる40個の発明原理なんかはそういう発想法としてすごく有名ですが,今回ここで紹介しているのはたった一つの図,思考展開図です.
たとえば最近発表されたダイソンのこれ.
dyson エアーマルチプライヤー AM01エアーマルチプライヤー25cm サテンブルー AM01 25 IB
- 出版社/メーカー: Dyson (ダイソン)
- 発売日: 2010/04/21
- メディア: ホーム&キッチン
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逆に,課題が何で要求が何で…みたいな当たり前に考えているはずのことを展開図にあえて書いて,自分がどういう思考を辿っているのかをよくよく自問すると,「これって実は本当の要求じゃないよね」とか「この言葉は暗黙に今の扇風機の形を想定してるよね」とかいう考えが浮かんでくる…かもしれません.
プレゼンでは展開図すごい!みたいなノリでいますが,これが万能な魔法の道具だなんてことはこれっぽちも思っていません.これを使うことである群のアイデアは確かに引出しやすくなりますが,代わりに別のアイデアを死なせてしまっているかもしれません.There ain't no such thing as a free lunch!
そもそも,「誰でもアイデアを生み出せるようになる万能な手法」なんて言葉はそれ自体に矛盾を孕んでいます.誰でも生み出せるような思考成果物を普通アイデアとは呼ばない.
自分の頭のことは自分自身が一番良く知っているはずで,新しいアイデアを絞り出すノウハウも個々人が既に経験則として持っているかもしれません.そういう人は今まで通り自分の戦略に則ってばしばし創造性工学に励んで頂くとして,この発表では「アイデアを絞り出す方法論を持ててない自分みたいな人は,こういう考え方もあるってことを覚えておくといつかきっと役立つよ!」ということを伝えたかった(全然資料から読み取れませんが…!).
ちなみに思考展開図は,今あるアイデアから新しいアイデアを生むために問題を抽象化し,上位概念を引きずり出すためのツールだと言えます.これ,実は「過去の失敗を繰り返さないためにはどうすればいいか」という思考方法ともぴったり対応していたりもします.「失敗に至った本質的な原因を抽出し,同じ原因から起こりうる将来の事故へ対策を打つ」ことと,「今ある設計解に至った本質的な課題を抽出し,同じ課題を解決できる別の方法を考える」ことは同じ思考プロセスを踏んでいるわけです.
そこらへんの話はこの本が分かりやすくてめちゃくちゃ面白いので,興味がある方は手に取ってみては如何でしょうか.
- 作者: 濱口哲也
- 出版社/メーカー: 日科技連出版社
- 発売日: 2009/10
- メディア: 単行本
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